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障がい者雇用の助成金・補助金

障がい者雇用の助成金・補助金の種類や条件は?初心者向けカンタン解説

障がい者雇用の助成金・補助金制度は、専門用語が多く、初めての方には難しいところが多いものです。

吉原人之
吉原人之
こんにちは。施設長の吉原人之と申します。ここでは障がい者雇用の助成・補助金について、入門部分はできるだけわかりやすく、また条件、支給額等については詳しく解説を行っています。

障がい者雇用の助成金・補助金とは?1分でわかる概要

Aさん:「障害者雇用の助成金・補助金について調べておいて」と上司に言われたけど、専門用語ばっかりで全然わからない!そもそも障がい者雇用の助成金・補助金とは何?
B先生:障がい者雇用の助成金・補助金とは、カンタンに言うと「障がいのある人を雇うために足りなそうな資金を、国や自治体が会社の代わりに出してくれる」という制度のことだよ。

Aさん:へー!助成金・補助金でどんなお金を出してもらえる?
B先生:例えば…Aさんの会社は、入口に段差があるよね。車椅子の人を雇いたくても、今のままでは出入りができない。でもスロープを付ける工事、資金を出すのが大変だよね。

Aさん:うん、うちは中小企業だから、ポンッと工事費を出すのは難しいよ。
B先生:こんな時、障がい者雇用の助成金・補助金の条件が合えば、設置工事費の助成を受けられるんだ。

Aさん:なるほど!それなら障がいのある人を雇いやすくなる。障がいのある人側にも、人手不足で困ってる会社側にもメリットがある制度なんだね。
B先生:これはあくまでも一例!他にも障害者雇用の助成金・補助金制度は色々あるよ。

【障害者雇用の助成金・補助金について補足解説】
日本では「障害者の雇用促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」が定められており、障がいのある人が一般就労するための後押しを国が行っています。法定雇用率が定められ、障がい者の雇用を積極的に行うよう、法律で義務化がされているのです。

しかし、特に中小企業等においては、障害者雇用のための設備や制度を拡充するための資金不足等により、障害者雇用枠の拡大が難しいのが実情です。この問題を軽減するために、様々な助成金・補助金制度が取られるようになりました。

あなたの会社は対象?障害者雇用の助成金の種類

Aさん:うちの会社も障害者雇用の助成金・補助金を受ける対象になるのかな?
B先生:上でも言ったけれど、障害者雇用の助成金・補助金には様々な種類があるんだ。まずはざっくり、それぞれの種類を見ていこう。

1.環境整備のための助成金・補助金

【助成金名称】障害者雇用納付金制度に基づく助成金(障害者作業施設設置等助成金・障害者福祉施設設置等助成金)

B先生:まずは「障害者作業施設設置等助成金」「障害者福祉施設設置等助成金」。これは、上の項目でも例として説明した「環境整備のため」の助成金、補助金だよ。
Aさん:上の例では車椅子の人のためのスロープ工事だった。
B先生:そう、その他には、例えば身体障がいがある人向けのトイレの設置であったり、目が不自由な人のための点字パネルの導入といったものも「環境整備」に当たる。

Aさん:ざっくり言えば「障がいのある人向けに建物とかを整えた場合」ということ?
B先生:それ以外にも通勤をしやすくするための措置などが助成対象になることもあるけれど、とりあえずはその理解で良いよ。

障害者作業施設設置等助成金
障害者作業施設設置等助成金には、第一種と第二種があります。

第1種:作業施設の建築・購入による設置や整備を対象
第2種:作業施設の賃借によって設置・整備可能な場合を対象

【対象】
・障害者を雇い入れるまたは継続雇用する事業主
(新規雇用の他、中途障害の復職、人事異動等での作業施設の改造が必要な場合等も含みます)
【事例】
・車椅子用等のトイレの改修
・スロープ設置
・拡大読書器設置
・業務上必要な場合の社用車の改造等

【助成金の助成率・上限額】
第1種・第2種ともに、工事等の費用の3分の2までが助成対象となります。第1種の場合には、上限は最大1人あたり450万。作業設備のみの場合には最大150万円までです。第2種の場合は月額一人当たり13万円まで。作業設備のみの場合は最大5万円までで、支給期間は3年間までです。

2.トライアル雇用のための助成金・補助金

【助成金名称】トライアル雇用助成金
B先生:次が「トライアル雇用のための助成金」だ。
Aさん:トライアル雇用とは何?

B先生:カンタンに言うと「何ヶ月間をお試し期間とする雇い方」ってこと。障がい者側は企業の環境が自分に合っているか、企業側は労働者の適性を確認してから継続的な雇用に移行できるよ。
Aさん:そのトライアル雇用を導入すると、企業側に障がい者雇用の助成金・補助金が出るのか。それならやってみようか、と考える事業主も多そう。

●トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース)

【対象労働者】
・障害者トライアルコースの場合:精神障害者・精神障がい者以外の障害者
・障害者短時間トライアルコースの場合:週10時間~20時間未満の労働希望の人/精神障がい者または発達障がい者
【支給条件】
・労働者が継続雇用を希望しており、双方がトライアル雇用制度を理解していること
・ハローワークまたは民間職業紹介事業所の紹介による雇用
・雇用期間については雇用保険被保険者資格取得の申請を行うこと

【助成金の支給額】
・障害者トライアルコースの場合:支給対象1名に対し、精神障がい者は月額最大8万円(最長3ヶ月)または月額最大4万円(最長6ヶ月)、精神障がい以外の障害者は月額最大4万円(最長3ヶ月)
・障害者短時間トライアルコースの場合:支給対象1名に対し、月額最大4万円(最長12ヶ月)

3.就職が難しい人を雇用した時の助成金・補助金

【助成金名称】 特定求職者雇用開発助成金
B先生:就職が難しい人を企業が雇い入れた場合にも助成金が出るよ。

Aさん:就職が難しい人って?
B先生:障害者はもちろん、高齢者だったり、母子家庭で子どもが小さいお母さん等は、なかなか就職が厳しかったりするよね。そういう人を、ハローワーク等の紹介によって雇い入れた場合が対象になる。

Aさん:助成金対象になる人が幅広いんだね。
B先生:近年では発達障害者の人を対象にした助成金も出てきているよ。

Aさん:発達障害って、自閉症とか?
B先生:そう、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー障害)やADHD(注意欠陥・多動性障害)、最近ではLD(学習障害)等の認知度も上がってきているね。

●特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金には、「特定就職困難者コース」と、「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」があります。

【助成金支給の条件(各コース共通)
・ハローワーク、または適切な民間職業紹介事業者による紹介による雇用
・継続雇用(対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで、当該雇用期間が継続2年以上となること)が確実となることを認める
・雇用保険一般被保険者としての雇用 等

◆特定就職困難者コース

【対象者】
・重度障害者
・重度障害者を除く身体・知的障害者
・高年齢者・母子家庭の母等
【支給額】
・重度障害者の場合:100万~240万円
・重度障害者を除く身体・知的障害者の場合:50万~120万円
・高年齢者・母子家庭の母等:50万~60万円
・短時間労働者の場合:30万~80万円

※支給額は事業所の規模により異なる。

◆発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース

【対象者】
・発達障害者
・難治性疾患患者
【支給額】
・短時間労働者の場合 30万円~80万円
・短時間労働者以外の場合 50万円~120万円

※支給額は事業所の規模により異なる。

4.正規雇用等にキャリアアップした場合の助成金

【助成金名称】キャリアアップ助成金
B先生:次は「キャリアアップ助成金」。これは雇用形態が変わる場合に受けられる助成金だよ。

Aさん:例えば障害者が契約社員であったのを、正社員として雇うときに受けられる助成金ということ?
B先生:そうそう。有期雇用だったのを無期雇用にするなどもあるけど、基本的には「非正規雇用の人にキャリアアップしてもらうための制度」と考えておけばOKかな。

●キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)

有期雇用労働者を正規雇用労働者(多様な正社員を含む)または無期雇用労働者に転換する措置、または無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換する措置の場合に受けられる助成金です。

【支給対象者】
・重度身体障がい者
・重度知的障がい者
・精神障害者
・重度以外の身体・知的・発達障害者、
・難病患者
・高次機能障害と診断された者
【助成金の支給額】支給対象者一人あたり
・重度障がい及び精神障害者の場合
1)無期雇用→正規雇用 45万円~60万円
2)有期雇用→無期雇用 45万円~60万円
4)有期雇用→正規雇用 90万円~120万円
・重度以外の障害者・発達障害者・難病・高次脳機能障害の場合
1)無期雇用→正規雇用 33万円~45万円
2)有期雇用→無期雇用 33万円~45万円
3)有期雇用→正規雇用 67.5万円~90万円

※支給額は事業所の規模により異なる

5.教育訓練のための助成金・補助金

【助成金名称】人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)

B先生:今度は障害者の教育・訓練を行う施設の設置や運営を行う場合の助成金だよ。

Aさん:障害者の教育・訓練とは何?
B先生:いわゆる「職業訓練」というものだね。サービス業からビジネス情報系、電子機器の組立等、様々な訓練内容があるよ。

Aさん:本格的なんだなあ。つまり職業訓練校を会社で作る、みたいなことだよね。難しそうだ。
B先生:うん、この助成金はかなり本格的な施設の設置と運営が必要になる。正直、助成を受けるハードルはかなり高いと考えておいた方が良いよ。

●人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)

【訓練対象】
1)身体・知的・精神・発達障害者、高次脳機能障害、難治性疾患を有する者
2)ハローワーク求職申込の上、所長が職業訓練の必要有りと認めた者

上記の2つの両方の該当が必要です。

【障害者能力開発訓練事業の条件】
1)運営管理者が訓練事業経験5年以上
2)訓練期間は6ヶ月以上2年以内
3)訓練時間は6ヶ月間700時間を基準、1日5~6時間
4)訓練科目が障害者に必要なものであること
5)訓練施設以外での実習が要件をすべて満たすこと
6)1単位の受講者が10人前後であること
7)受講者5人につき1人の訓練担当者を置くこと
8)訓練施設が障がいの種類に配慮したものであること
9)安全・衛生の十分な配慮がなされていること
10)教材費用を明示したものを除いて受講費用は無料
【助成金の支給額】
1)施設の設置・整備のための費用
・施設の設置・更新に要した費用の4分の3まで
・初の助成金対象の場合は上限額5000万円まで
・訓練科目ごとの施設は上限額1000万円まで
2)運営費用
・重度障がい者の場合:運営費1名あたりの5分の4まで(上限月額17万円)
・それ以外の場合:運営費1名あたりの4分の4まで(上限月額16万円)

障害者雇用の自治体による助成・補助金もある?

Aさん:障害者雇用には、本当にいろんな助成金があるね。
B先生:上で紹介した助成金は厚生労働省が設けた「国」の制度だけれど、それ以外にも都道府県や市町村の「自治体」が、障害者雇用の助成金・補助金制度を設けていることがあるよ。

Aさん:へえ!うちの自治体はどうだろう。
B先生:ここでは一例を見てみよう。

東京都:障害者安定雇用奨励金

障害者の新規雇用を対象とした「雇入奨励金」と、正規雇用などへの転換を奨励する「転換奨励金」の制度があります。

【対象者】
・精神障がい者
・上記以外の障害者
【助成金の支給額】
・雇入奨励金:精神障がい者/130万円~180万円 上記以外/100万円~150万円
・転換奨励金:精神障がい者/130万円~150万円 上記以外/100万円~150万円

※助成金額は事業規模により異なる

神奈川県:精神障害者職場指導員設置補助金

中小企業を対象とした精神障がい者雇用の補助金制度です。

【対象労働者】
・精神障がい者
【対象事業所】
・常用となる従業員数45.5人~100人未満の小規模または中規模の事業所
【補助金の支給額】
1年目/一人あたり月額3万円 
2年目と3年目/一人あたり月額2万円(最大支給期間3年)

京都府:障害者雇用施設設備事業費補助金

障害者の就労のために必要な設備の設置、制度整備のための補助金です。

【対象となる事業所】
・障がいのある人を常時雇用している
・障害者法定雇用率を満たすか、規定期間内に障害者雇用計画の提出
【対象経費】
・施設の設置・購入・回収
・職場定着の支援(カウンセラーの派遣、通訳士の派遣等)
【補助金の支給額】
補助対象経費の30%(補助上限額100万円)

おわりに

Aさん:障がい者雇用の助成金・補助金、思ってたより種類がすごく多くてビックリした!大手企業向けなのかと思ったら、我が社のような中小企業にも手厚く対象にしてて驚いたよ。
B先生:障がいのある人を雇い入れるところから正社員等にキャリアアップするところまで、様々なシーンに対応しているから、助成金・補助金の対象となるケースはとても多いと思うよ。

ただし障害者雇用の助成金・補助金の支給対象には細かな条件があり、申請も必要なので、そこはしっかりチェックすることが大切だよ!詳しくは都道府県の労働局、または自治体役場等に問い合わせてみてください。

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